雛人形にはどんな種類のものがあるの?女の子のお子さまが産れて、雛人形を探し始めた方は、意外に色々な雛飾りの種類があるのに驚いている方も多いのではないでしょうか。
親王飾り、五人飾り、十人飾り、収納飾り、段飾り、一般的には馴染みにくい言葉が並んでおり、パッと、見た限りでは、どれから選んだら良いかわからないという方もいらっしゃると思います。
本記事では、そんな雛人形の飾りの種類とそれぞれの特徴や人形に込められた意味や背景についてわかりやすく解説することで5分でそれぞれの飾りの違いと特徴をご認識頂けるよう記事を記載しております。
1.親王飾り
親王飾りとは、親王(男雛(お内裏様)と女雛(お雛様)の一人ずつ一組)と台、屏風、小物がセットになったコンパクトな飾りです。飾るために大きなスペースを必要としないため、マンションや賃貸のご住居にお住いのお客様から人気のある飾りで、一般的には、お人形の数が二体となるため、お値段もお求めやすいものとなっていることが、多くあります。
- 小物を追加して少し華やかに
お値段もご自宅スペースもあまりかけたくないから親王飾りで検討したいけれど、シンプルで少し寂しいなという方は、小物を少しだけ足して、全体華やかにしてみるのも選択肢の一つです。右のお写真のように大きなお花を配置すると、すごく華やかになり、印象もがらりと変わります。シンプルな飾りだからこそ、小物を追加することで、様々な雰囲気を演出することが可能です。お客様に合わせたオーダーサービスや小物のみの販売を行っている節句人形店も多くあります。普通の親王飾りでは物足りないという方は、ご自身で小物の組み合わせを考えてみることを是非ご検討ください。
2.五人飾り
五人飾りは、親王飾りに三人官女(お雛様のお世話係の女性たち)が加わった飾りです。三人官女が親王飾りに加わることで、賑やかな印象となりますので、近年、親王飾りと十人飾りや段飾りとの間の基本的な飾りとして、お求めになられるお客様が多い飾りです。
- 三人官女とは?
三人官女とは、前述の通り「お雛様」のお世話係の女性たちのことですが、官女とは、実は、女官(女性の官僚のことを指します)のことで、古来優秀な女性が付いた重要な職務でした。現代で言うと、お姫様のお世話をする女性キャリア官僚ということになります。五人飾りは、親王のお二人と、お姫様のお世話係の女性官僚三人のセットとわかりやすくご認識頂ければと思います。
3.十人飾り
十人飾りは、前述の親王と三人官女の五人飾りに加えて、五人囃子(ごにんばやし)が加わった飾りです。十人揃うと、真にお雛様のお祭り、雛祭りを再現しているかのような飾りとなります。
- 五人囃子とは?
五人囃子とは、能楽を演奏する4人と声楽の担当の謡(「うたい」と読みます)を担当する1人のお祭りを盛り上げるバックバンドの人たちと考えて頂けるとわかりやすいかと思います。よく見て頂くと、それぞれが楽器(太鼓、大皮鼓、小太鼓、笛)を持っているのがお分かりになるかと思います。扇子を持っているのは、謡の担当の方です。五人囃子は少年楽師で、元服前の貴族の師弟と言われています。年齢は12歳前後で、髪は結ばれておらずおかっぱのような髪型が可愛らしいですね。物心ついた時から稽古を続けているため、少年ながらプロにも勝るとも劣らない素晴らしい腕前の演奏を披露していたそうです。一年に一度のお祭りである雛祭りに音楽を奏でる五人囃子が加わることで、大変豪華で賑やかに見えますね。
4.収納飾り
収納飾りは、読んで字のごとく収納が可能な雛飾りです。上部に載せたお写真は収納可能な五人飾りとなっており、収納五人飾りと当工房では呼んでいます。
雛人形は一年に一度決まった時期にしか飾らないものとなりますので、ご自宅の中のどこかへ一年間の大半を保管することなります。お雛様はもちろん、お道具や小物等をコンパクトにまとめて収納ができる収納飾りは近年大変人気の高い飾りです。少々背の高い飾り台が特徴で、飾り台の中に右の写真のように収納します。これでしたら、細かなお道具がなくなったり、他の荷物につぶされていつの間にか壊れてしまうといったことがなくてとても安心ですね。
5.段飾り
「昔から雛人形と言えば、段飾り。」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。立派な段飾りは、大変華やかで豪華、楽しい雛祭りを再現したかの様です。三段になった台がというのが一般的な段飾りの台で、最低でも十人のお人形が飾られているものが多いです。飾り方やお人形の数に必ずしも決まりがあるわけではございませんが、ここでは最もポピュラーな十五人の段飾りをご紹介させて頂きます。十五人飾りは、前述の親王、三人官女、五人囃子(ごにんばやし)、さらに三人の仕丁(じちょう(上部写真の最下段真ん中の三人))と二人の隋臣(ずいしん(上部写真の左端、右端の二人))の計五人を加えた飾りです。
- 仕丁と隋臣とは?
仕丁は、雛飾りの中で唯一の庶民出身の白い着物を着た三人組と言われています。昔の官庁や貴族の家の雑役夫(ざつえきふ)といって、現代で言うメイドさんのような家事のお手伝いや庭師などをしていた方々と言われています。ここでは雛祭りのためのセッティングやお掃除をしているといったところでしょうか。隋臣は別名、右大臣、左大臣と呼ばれますが、実際には高貴な方々を守る武官です。現代で言う国の要人の方々を守るSPといったところでしょうか。雛祭りが滞りなく行われるように、また親王様たちが安全に楽しく過ごせるように目を光らせて警備を行っています。
6.まとめ
雛人形とひとくくりに言っても様々な種類の雛飾りがあります。ご説明させて頂いたようにお人形それぞれに役割や背景があり、雛祭りを行う上でそれぞれに重要な役割が与えられています。簡単にそれぞれの雛人形の飾りの種類や人形の役割の意味をご認識頂いた上で見てみると雛人形の見え方が従前とまた変わってくるのではないでしょうか。
雛人形を選ぶ際にどんな飾りが良いか、豪華さ重視なのかそれとも手軽さや便利さを重視するのか、何人位のお人形がいると良いか等を検討する際の一助になっていただけますと幸いです。